十津川、山の民

山の民の誇りを持ち、十津川村に生きる人々を紹介します。

Vol.14

2021.08.23

林業の振興による持続可能な村づくりに携わる。

十津川村役場 産業課(林業グループ)金森 悠さん

京都府出身。関東を経て十津川村へIターン。
産業課・林業グループに所属して早10年、
村の林業を縁の下から支える。

穏やかで満ち足りた、村で送る毎日。

関東の大学で林業工学を学び、就職を機に十津川村に移住。村の林業従事者のサポートを行う傍ら、休日は職場や村の友人たちと野球やバレー、フットサルを楽しんでいるそうです。毎年恒例の1月の駅伝大会では、学生時代に陸上部で培った実力を発揮されているとか。仲間たちとバーベキューをすることも多く、自らバーベキューインストラクターの資格を取得したそう。金森さんが焼く食材はまさに“プロの味”で、仲間うちで好評です。「村での毎日はとても穏やかです。あたたかい村人の皆さんや村の自然に囲まれて、ゆったりとした時間を過ごしています。もちろん東京ほど便利な場所ではありませんが、村の穏やかな空気が肌に合っています。空気も水もきれいだからか、村で食べるものはすべておいしいですね。飲食店のクオリティが高いと思います。」村の自然が育む恩恵を授かりながら充実した毎日を送っているとお話しいただきました。

プロの林業者が一流の仕事を続けるためのサポートを。

役場での仕事は、林業従事者をサポートするさまざまな事務業務がメイン。「技術者の方々の不安・不満を解消する手助けをしています。林業に関わる数多くの制度の中から状況に合ったもののご紹介や、補助金をもらうための書類の整理や実地検査など幅広い業務を行っています。林業に携わる方々は、当然ですが一流の仕事をされます。プロの皆さまに腕をふるって働いてもらえるよう、サポート業務に励んでいます。」ほかにも村有林における下刈や間伐等の事業の発注や現地での検査・測量も業務のひとつ。多様な技術者と関わりながら知識を深めています。今ではチェーンソーを扱う免許も持っているそうです。
林業で悩みの種となっているのが、所有者や境界が不明な森林が増加していることです。そのため、整備が遅れてしまっている森林が多数あります。整備されずに放置された森林は、土砂災害などの原因となってしまうことも。「森林の境界を明確化するための補助事業等を紹介するなど、林業従事者の方々に公的な問題であることを理解していただきます。一人ひとりが解決の意識を持つことが現状改善につながっていくはず。複雑で深刻な課題も多くありますが、感謝の言葉をいただき、自分の対応が林業従事者の手助けとなっていることを実感できたときはもっと頑張っていこうと思えます。」

新しい林業の形をつくり、村を支える。

金森さんは、2021年4月から十津川村に導入されている「十津川村森林(もり)づくりガイドライン」に携わるメインメンバー。これまでの林業では木材を生産することを中心に考えてきましたが、木の伐採や道づくりの際に山に残しておく木々の保持や作業の安全性、自然への配慮等の目安を示すことで、環境にやさしい持続的な林業に向けて取り組んでいます。「少しずつ意識づけをし、考え方を浸透させていきたいです。村の96%が森林である十津川村。持続可能な森林づくりを目指し、林業の振興や環境の整備を行っていくことがきっと村全体の発展につながるはずです。」林業を取り巻く課題を解決するため、今後はガイドラインの説明会などを行い、一人ひとりの意識改善に取り組まれるとのこと。村の林業が長く続くように、今日も金森さんは村を支えていかれることでしょう。

落ち着いて語る金森さんの周りには自然と穏やかな空気が。

仕事道具を携え、いざ山へ。

急峻な山で育つ十津川の木たち。

生命のたくましさとぬくもりを感じます。

森を見つめる目は真剣そのもの。

巧みに機器を操る金森さん。

ドローンが十津川の空へ高く飛び上がります。

誇りを持って業務に取り組む後ろ姿。