十津川、山の民

山の民の誇りを持ち、十津川村に生きる人々を紹介します。

Vol.13

2021.07.12

未経験でも村の一員として活躍できる。

十津川村森林組合 木材加工流通センター中垣 祐一郎さん

15年間の村外での生活を経て帰郷。
村と密接に関わる仕事を志して
木材加工業に就き、1年と少しが経過。

全くの異業種から、林業の世界へ。

高校進学時から村外で暮らし、30代を節目にUターン。十津川村森林組合 木材加工流通センターに就職されました。「村で働き始めて1年と少しが経ちました。年齢を重ねるにつれ、村に関わる仕事をしてみたいという想いが強まったことが木材産業の世界に飛び込んだきっかけです。前職は木材や加工には全く関係のない仕事でしたが、業務を通じて勉強しています。」と語る中垣さん。業務は、木材加工に関わる一連の作業。十津川村の森林で伐採された木材の中から、選木した丸太を製材棟に運び入れ、土や小石、木の皮などを取り除いて製材。乾燥棟に入れて加工したのち、出荷します。この1年間で、木材を運ぶリフトの運転免許や木材加工のためのボイラーを扱う資格など、さまざまな資格や免許を取得したとのこと。「業務に関わる資格取得は、取りたいという意志があれば、職場で全面サポートしていただけるのでありがたいです。まだまだ分からないことも多いですが、先輩方に教えていただきながら、日々勉強しています。」と笑います。

都会から一転した毎日で気づく、社会の一員である実感。

人があふれる街での暮らしから一転し、村に戻って感じたのは意外にも「社会の一員としての確かな実感」だそう。「都会に住んでいたこともありましたが、例えば駅ですれ違う人々とは挨拶を交わすこともありません。暮らしているアパートの隣の人の顔さえ知らない生活は、大勢の人間に囲まれていても『孤独』でした。それに比べると、全体人口は少なくとも村民同士のつながりが強い村での日々は、自分も社会の一員という確かな実感が得られます。歩いていても車を運転していても知り合いとすれ違い、人間関係が築ける村での暮らしは、人間としての成長につながっているように感じます。村を離れて15年ほど経っていましたが、昔と変わらずあたたかく迎え入れてもらえてうれしかったです。」都会で過ごした経験があったからこそ、村のあたたかみを改めて実感できたという。澄んだ空気に包まれ、四季を全身で感じられる静かな毎日はもちろん、村ならではの人との触れ合いはまさしく「都会にはない魅力」でしょう。

村の自然が持つパワーを、世界に広めていきたい。

仕事の好きなところは、木材に関わる“生(なま)もの感”だといいます。「前職では無機質なものを取り扱うことが多かったのですが、木材には一つひとつに個性があったり、加工作業中に木の香りを感じたりと自然のぬくもりがあります。また、十津川村の木材の魅力は『強さ』。村が生んだ自慢の木材からは、しなやかにたくましく育った木々のパワーを感じることができます。私が生まれ育った十津川村の木材で家を建てたいと言ってくれるお客様がいることを知ったときは、胸が熱くなりました。」
村では、最近では新たな観光地としてアウトドア施設「空中の村」ができるなど、さまざまな新しい取り組みが行われています。「林業であれ観光であれ、『十津川村ブランド』が全国に浸透していくことが私の願いです。私は木材加工の観点からその一端を担っていきたいです。また、村に魅力を感じて関わってくれる方も増えると嬉しいです。私のように全くの未経験者でも活躍できる環境があります!」充実した笑顔とともに、そう語っていただきました。

スギやヒノキが集まる木材加工流通センター。

日々十津川で生まれた木材が運ばれて行きます。

十津川の魅力を熱く語る中垣さん。

いろんな道具を常に身につけています。

1本1本丁寧に、慎重に扱います。

製材した木を乾燥機で乾かします。

お仕事仲間とご歓談。コミュニケーションの時間が大切。

たくさんの木に囲まれて暮らす、充実した毎日。