十津川、山の民

山の民の誇りを持ち、十津川村に生きる人々を紹介します。

Vol.10

2019.10.17

ものづくりを通して、十津川ブランドに貢献する。

中山 直規さん

家具職人の夢を追って、東京から移住。
3年間の下積みを経て、ついに独立。
日々家具のデザインや製作に取り組まれています。

自分の手でものづくりをしたいという思いがあった。

十津川村の木材を使用して家具を製作している中山さん。カフェを併設したギャラリー「KIRIDAS」の商品をはじめ、オーダーメイド、オリジナルまでさまざまな家具を生み出しています。「十津川村に来て4年目になります。それまでは日曜大工程度で、実際に商品を作るような経験は全くありませんでしたが、村の臨時職員として3年間、村の職人さんに一から家具の作り方を学び、今はひとりで商品を手掛けています。」
昔から木工や家具が好きだったという中山さんですが、十津川村に移住される前は東京でサラリーマンをされていました。「社会人になって10年間広告代理店に勤めた後、もっとものづくりに近いところに身を置きたいと考えて建築関係の仕事に転職しました。しかしやっぱり自分の手を動かしてものを作りたいという思いが次第に大きくなっていって。そんな中、妻が見つけてきてくれたのが、十津川村の求人情報でした。そうと決まれば早いもので、採用が決まってから1ヵ月後には十津川村へ引っ越してきていました。」

十津川の木のブランドを高めることに貢献したい。

中山さんが作る家具の魅力は、なんといっても十津川村の木を使っているところ。「十津川村や奈良という土地にゆかりがあったり、興味や親近感を抱いてくれていたりする方が好んで購入してくれます。ホテル昴に置いてもらっている商品を見た方がネットで注文してくれることもありますね。大阪・奈良を中心にさまざまなお客様からご愛顧いただいています。」
その十津川村の木の特徴とは。「ひとことで表すと『野性的』。自然の中でのびのび育った杉は、ほかの地域の杉と比べても高い強度を誇っています。そんな十津川村の木材を、お客様にとって価値が高いと思ってもらえる商品を届けたい。『KIRIDAS』でよい家具を作り続けることで、それに貢献できればと考えています。」いずれは個人のブランドも作ってみたいけれど、今はとにかく目の前の家具づくりに集中し、よりよい商品や作品を届けるために頑張りたい——と、仕事にかける思いも語ってくださいました。

我が子に望むのは、十津川の木のような、健やかな成長。

東京から十津川村へ移住された中山さんから、その生活の変化について伺います。「初めて面接で十津川村に来たときは、『こんな細い山道の先にこんなに大きな村が広がっているんだ』という驚きがあり、生活のすべてが新鮮でした。実際に住んでみると、それまで想像していた村暮らしとのギャップも——もちろんいい意味で。村というと過干渉なイメージを持っていたんですが、十津川村の人は温かく助け合いながらも程よい距離感で、都会から来た人間でもなじみやすい環境です。夏は祭りや盆踊りなどのアクセントもあり、楽しめています。」
また、奥様はデザイン関係の仕事をしており、村の広報誌やポスターのデザインを請け負うこともしばしば。「出産で一時的に仕事から離れていましたが、最近は少しずつ復帰し始めていますね。子どもはもうすぐ2歳に。今は自分のやりたい仕事ができる環境で、家族とつつましやかな生活を送れていることに感謝しています。」
きっとお子様も、そんなお父さんの背中を見ながら、雄大な自然と温かい人の中でのびのびと育っていかれることでしょう。

十津川のたくましい木材たち。

細やかな手作業で作品に想いを乗せます。

中山さんご愛用の道具たち。

繊細な作業を行うには機械のメンテナンスと調整は欠かせません。

十津川のヒノキで作ったオリジナルデザインのソファ。

デザイナーさんとのコラボレーションで生まれた商品たち。

公共施設からの大型発注にも対応できます。

木の香りには人をリラックスさせる効果があると言われています。

「大人になるまでずっと寄り添える」というコンセプトのデザイン。

シンプルなものにこそ、職人のこだわりが生きます。