十津川、山の民

山の民の誇りを持ち、十津川村に生きる人々を紹介します。

Vol.6

2017.08.31

原木丸太の仕分け・販売を通し、山を育てる。

十津川木材協同組合 原木担当玉置 千勢さん

十津川村で伐り出された原木丸太の
仕分け・販売を担っている。
弱冠27歳ながら、取引先の信頼は厚い。

原木丸太の仕分けとは。

十津川村の山で各林業事業者が伐り出した原木丸太は、いったん「ストックヤード」と呼ばれる仮置き場に集められます。玉置さんはそこで、サイズやグレードによって丸太を仕分ける作業を行います。「まずは直径の計測から。メジャーで測ったサイズを、原木の断面に直接書き込んでいきます。腐っているものや、虫食いが疑われるものは、この時に仕分けます。それから、一本一本転がしながら曲がり具合や節(ふし)の状態を加味して、丸太のグレードを見極めて、仕分けます。」仕分けは、その精度が十津川村の原木丸太の評判に直結する、緊張感のある仕事。20代と若手ですが、玉置さんの目利きを信頼して村の原木丸太を買ってくれるお客さんもいます。

ニーズをとらえるアンテナが、山への利益還元につながる。

玉置さんは仕分けだけでなく、販売までをトータルに管理しています。「原木は切り揃える長さによって用途が変わりますし、市場の相場は常に変動します。基本的には需要の多い3メートルや4メートルで切り揃えることが多いですが、一番効率よく利益がとれる長さに切るよう、山の現場に市場の情報を流すこともあります。できる限り、木主に利益を還元したいですから。」木材のマーケットを敏感にとらえられるよう、市場での人間関係を密にして情報を素早く得ることも仕事の一つなのだとか。

お客さんと助け合い、息の長いお付き合いを。

仕事をするうえでのモットーは、お客さんとの助け合い。「原木丸太の取引はもちろんビジネスですが、お客さんとはそれ以上の関係を築くことが大切。日々のお付き合いを通して信頼関係を築きます。伐り出したものの、なかなか売れない木があった時には、その木を買ってくれそうな人をお客さんが紹介してくれたことがあります。もちろん逆に、僕はお客さんの要望には何とか応えてあげられるよう奮闘しています。お互いに困った時に助け合える関係性でありたいですね。林業は100年単位のビジネス。お客さんと安定した取引を続けることが、継続的な山への利益還元、しいては林の育成につながります。」目の前の利益といった「今」のこと以上に、十津川村の林業の「未来」を想う気持ちの強さをインタビュー中はひしひしと感じました。

目指すは、十津川村の原木丸太の顔。

今はまだまだ先輩方にご指導いただくことも多いという玉置さん。「林業に携わる人たちは、知り合いであろうとなかろうと、皆さんが持っている知識を惜しみなく教えてくれるので助かります。市場に行った時に分からないことがあっても、その場で近くにいる人に聞けばなんでも教えてくれる。皆さんも同じように、周りの人に教わりながら育ってきた文化があるんでしょうね。先人の知恵をたくさん吸収して、いつか『十津川村の原木といえば玉置!』と言われる存在になりたいです。」少し照れながらもはっきりと語ってくれた玉置さん。そうなる日はきっと遠くないのではないでしょうか。

本日の土場。雨上がりの霧が幻想的。

虫食い、腐りはないか、丸太の断面を確認中。

一本一本を素早く測る、手際の良いこと!

測った直径はチョークで書き込み。

機械操作もお手の物。

左右に転がし、曲がり具合をチェック。