十津川、山の民

山の民の誇りを持ち、十津川村に生きる人々を紹介します。

Vol.9

2018.05.28

ワークショップで伝える森の魅力

ワークショップ講師中村 恵子さん

地域の加工品生産に携わりながら、
十津川村の自然素材を使った
ハンドメイドワークショップの講師として活躍。

“好き”から始まったワークショップ講師

「講師なんておおげさなものじゃなくて、趣味でやっているうちにあれよあれよと。普段は地元野菜を使ったお弁当とかよもぎ餅とかの加工品を地域の方たちと作っていて、そっちが本業!」笑いながら謙遜する中村さんですが、ワークショップは評判でリピーターの参加者もいるそう。
「手先を動かすのが小さい頃から好きで、学生の頃は生け花を習ったこともありました。十津川村に来たのは、結婚がきっかけ。村のあちこちで素材の植物がなっているのを見て、家の飾り物なんかをよく作るようになりました。うちの子が小さかった頃は、遊びながら一緒に色々作ったり。そのうちに声をかけてもらって、5年ほど前から年に数回、木灯館(※1)でワークショップをするようになりました。小さなお子さんも参加できるように、難しい工具は使わないようにしてます。親子で楽しんでもらえてるのを見られると、私もとても嬉しい。時々お母さんのほうが夢中になってたりして。」

(※1)木灯館…十津川村の森林・木材の魅力や林業などの情報を発信している木造省エネモデルハウス。村と都市部をつなぐ交流の場としてワークショップを開催したり、建築相談会などを実施しています。奈良県橿原市のイオンモール橿原の敷地内にあります。

クリスマスリースが届ける十津川の森

インタビューの席に、中村さんがリースと素材を持ってきてくださいました。「毎年クリスマスの時期にリース作りのワークショップをしてるんです。土台の杉の葉も、飾りも、みんな十津川の森で集めたものです。十津川の素材は、きれいな空気で育ったからか、時間がたってもボロボロにならない。1年ずっと飾ってても大丈夫。」
リースは触れるとふわっと森の香りが広がります。飾りには松ぼっくりや南天の実の他、様々な植物のドライフラワーが。「柏の木の実にアケビの花、これは十津川村の村花のシャクナゲ。花が落ちて、残った花ガラが自然に乾燥したもので、形がちょっと珍しい。村の大工さんにわざわざ削り出してもらったカンナくずもあります。くしゃっと丸めるだけですっごくかわいいし、いい香り。ハンドメイドは作るのはもちろん、素材集めも、素材そのものも好き。山のどこでどの素材がとれるのか知ってるんだけど、ちゃんと育ってくれてるかな~って、毎年どきどき!ワークショップでは、素材をきっかけに十津川村の素敵なところを知ってもらえると嬉しいですね。」山道を通る時はついついよそ見して素材を探してしまうんだとか。ワークショップでは一つひとつの素材にも注目です。

自然と触れ合うフィールドワークを実施したい

昨年は初めての試みとして、イオンモール橿原の無印良品さんでクリスマスリース作りを開催されました。「嬉しいことにリース作りは予約でいっぱいになりました。お父さんと娘さんのペアで参加したり、家族総出で一つのリースを囲んでくれる方たちもいて、いつにもまして賑やかでしたね。ハンドメイドは、作っているときの思い出も含めてお家に飾れるのがいいところです。」
当日は森の香りに誘われ、通りがかりの方にたくさん声をかけられたそう。「街中にも木は生えてはいるけど、素材の香りとか形とか、じっくりとその素晴らしさを見る機会はあまりないと思うから、ワークショップが素材の魅力を感じるきっかけになればいいなと思っています。今後は十津川村の『21世紀の森・紀伊半島森林植物公園』を子どもたちが自然と触れ合う場として活用していけたらなと考えています。」ワークショップだけでなくフィールドワークまで!中村さんの活躍の幅はますます広がりそうです。
ワークショップ開催時は当ホームページでも告知するので、ぜひご覧ください。
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■十津川式林業6次産業化ホームページ お知らせ
https://www.totsukawaforestry.jp/news/index.php
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クリスマスリース。褪せた色が味わいある雰囲気をつくってくれます。

赤いサンキライの実で飾ったリース。

素材ボックス。このまま飾りたいくらい素敵です。

インタビューの後、素材集めに連れて行っていただきました。

シャクナゲの花ガラ。

かわいい松ぼっくりもたくさんとれました。