十津川、山の民
山の民の誇りを持ち、十津川村に生きる人々を紹介します。
山の民の誇りを持ち、十津川村に生きる人々を紹介します。
2017.03.10
田中林業 勤務温井 潤也さん
十津川村生まれ。造林を営む父親のもと、1年間山づくりを学ぶ。
現在は道づくりから伐採、搬出まで
トータルで林業に携わる田中林業で様々な技術を磨く日々。
父親の仕事について、小さい頃からよく山に入っていたという温井さん。当時、ただ山をかけて遊んでいるだけだった子供が、山で働く父親の背中を見ているうちに自然と林業の世界に。「木々の間に落ちるぽかぽかの木漏れ日とか、ふわっと香る森のにおいとか、山にいるとなんだか落ち着きます。今でも子どもの頃と変わらず、十津川村の山が大好きです。」
まだまだ若い人が少ない林業の現場。田中林業のベテランの大先輩たちがじっくりと仕事のいろはを教えてくれます。「できることがどんどん増えると、やっぱり嬉しいですね。」「それに、奥さんが朝早くから作ってくれたお弁当を山で食べるのも嬉しい。雄大な景色を眺めながら、仕事仲間とコーヒーで一息つくのも嬉しい。大きな木をうまく倒せた時なんかは達成感もあって、山の仕事はとにかく楽しいですよ。」
林業は伐採だけでなく、山を育てる植林や下刈りに始まり、木材を運び出すための道づくりなど専門の知識と技術を要する様々な仕事があります。取材日には、新しく作った林業道の測量を。道の傾斜や幅を測り、道の安全性が保たれているかを確認していきます。「林業は自然に真正面から向き合う仕事ですから、一歩間違うと大事故につながります。だからこそ、地道な安全確保には一切手を抜きません。」
十津川村の山は急峻でトラックの入れない伐採現場も多く、空中に太いワイヤーをひいて木を吊るして山から木を降ろす「架線集材」の技術は必須。林業に携わり4年。山に入り、木を伐る技術は習得し、最近は「架線集材」の技術を勉強中。「ワイヤーの設置・解体から集材機の運転・修理など幅広い技術が必要で大変ですが、何とかものにしてみせます。いつかは自分が親方になって山に入るのが夢ですから。」未来の林業を担う温井さんは静かに夢を語ってくれました。
測量していた道。つくるのにかかった期間は1か月ほど。
測量中の温井さん。真剣な表情です。
伐採現場から運び出されていく原木。
現場では日々様々な機械を操作。
道は深い森に囲まれ、木の香りが心地よい。
取材日に近くの別現場でひかれていた架線。